Night Mixer 3

 何度も角度を変えながらの口づけの最中にも葵は指先で俺の息子を攻めてくる。やんわりと揉みほぐし、形どり、きつく撫で上げる。
 「うっ」
 情けない事に、反応してしまい、声を出してしまったのは俺だった。
 触られれば、反応してしまう、悲しい性。好きだとかそんな感情があるワケではなかった。かといって葵が嫌いなワケでもなかった。
 これも、慣れなんだろうか。
 そんな事も、行為が進んでいくともうどうでも良くなってくる。
 指先で扱かれて、熱い息が上がっていくのを止める事が出来ない。葵の柔らかな舌が俺の口内を舐め挙げていく、それに応える俺。

 「んっ……」
 口でやられるのと大差なく、あっけなく先に行ってしまった俺。
 「やべ……」
 自分の腹の上にベトベトとした白い液体がトロリと被さる。葵の指先から滴る精液を見ていると訳の分からない屈辱感が生まれくるのだった。
 「彼女とか、いるの?イッチ」
 「あー、何が?」
 半分だけづり下げられたまま、中途半端な状態で、俺はまたもや葵にいかされてしまった事に自尊心が傷つく。
 「彼女いないなら、いいよね」
 「だから、何が!」
 「セックスしようよ」
 「そういう問題じゃねーだろ」
 どういう問題であろうと、こんな情けない俺が言えた立場じゃないのは充分分かってはいるが。
 葵は立ち上がり、テイッシュで汚れた手を拭うと、はいていたジャージと下着を脱ぎ去った。身体が泳いでいたグレーのトレーナーも脱ぎ去り一糸まとわぬ姿を俺の前に晒す。
 そして、俺の中途半端な状態のジーンズに手をかけ、いっせいの、せい。あっというまに俺は半分だけ露わな格好にさせられてしまた。
 「さ、イッチ。上も脱いでさ」
 「お前、俺の意見も聞け」
 「やだ。イッチはそのまんまにしていていいから俺の言うこと聞いてればいいの」
 「つーかさ……」
 「電気、消すよ」
 パチン。暗闇のなか、テレビの画面だけが浮かび上がっている。
 暗がりになると、なんとなくその気になっていく自分が情けないが、俺は葵が嫌いじゃなかったし、男であるという事実を除けばその気になったって可笑しくない状況ではあった。
 脱がされるまま、着ていたパーカーを床下に落とされ、暗がりの中葵の目を見つめる。
 「セックス、しようよ」
 唇がそう、動く。
 とんでもない奴に掴まったかもしれない。と頭では考えるがその言葉がどんな意味を持つのか未だ理解が出来なかった。
 考えるのが面倒臭ぇ。まいっか。
 ベットに上半身を起こした俺はシーツに手をつき葵を見つめる。俺に跨った葵は綺麗な顔で笑った。
 「覚悟、決めたんだ。イッチ」
 「おめーの好きにさせるかよ」
 そうは言ってみたものの、実際の所、何をどうすればいいのか分からなかった。いや、突っ込む場所はアソコだろうと思いはするが、そこまでの順序というか、手順は女相手の時と何か違いはあるのだろうかと、思いを巡らせる。
 そうこうしている内に葵は俺の既に柔らかくなってしまった物を掴みあげ、吐き出された残骸を指に掬うと自分の後ろへと塗り込めていった。
 手を取られ、葵のそこへと導かれる。俺の手はおっかなびっくり、葵の肌へと触れた。熱くなっている葵の肌を直に感じながら、葵も感じているんだと分かる。裸になった葵のペニスは頭を擡げ、触れて欲しそうに俺を見つめていた。
 俺はもうこれ以上、葵に好きな様にされるのも気に入らなかった。どうにでもなれ、という半分開き直り気味に、葵の尻を鷲掴んだ。恐る恐る、葵の中に指を差し込む。熱く熟したようになった部分に振れ、俺の頭の中も沸騰しそうだった。切なげな声をあげる葵の声が耳元に届く。
 「イッチ、痛い……」
 「ごめん」
 なんだか、初めてセックスしたときの事を思い出す。優しく、女とやるときと同じように抜き差しを繰り返した。
 「ん……、はぁっ……」
 小刻みに葵の身体が震えていく。その度に締め付けられる俺の指。もの凄く、きつく、熱い、ソコ。
 「イッチ……、掴まっても……、いい?」
 頼りなげな腕が俺の肩に掴まる。背を丸める様にして葵が喘ぐ。
 「イッチの指だけで、感じるよ。すげぇ……、感じる。相性良いみたい」
 そんなもんなのか?俺も葵に触れられるだけであっけなくイッテしまった事を思い出しては、確かに相性があるとすれば、いいんじゃねーの?と口にした。
 「もうそろそろ大丈夫だから」
 揉みほぐされて、柔らかくなった葵が溜息混じりに声を出す。
 「入れてよ。俺ん中に」
 ゆっくりと体位を変えながら、葵の中に自分のモノをあてがう。ゆっくりと、先端が飲み込まれていった。そこから先は朦朧とした記憶の中にあるだけ。
 女とやるのと大差ない。それよりも熱くなった葵の身体は心地よかった。悔しいけれど、相性は最高にいいと言ってもいいだろう。そんなに長い時間じゃなかった。
 入れて、出して。抜き差しよりも、葵の声や、肌の感触、粘膜の刺激。全部が一つになって俺は終わった後も何故か不思議と罪悪感とか、起こりはしなかった。
 ドサリと身体をベットに投げ出した。重い身体でベットが揺れる。
 「マジ、疲れた」
 「結構、頑張ったよね。初めての割には」
 そういうお前にとって俺は何人目の男なんだよ。って言ってやりたかったけれど、その一言言うにも疲れすぎていた。
 こんなに真面目にセックスしたのって久しぶりだった。てか、セックス事態が久しぶりだったから、結構マジだった。
 「なに、してんだろ。俺ら」
 「セックスじゃん」
 はあ、確かに仰せの通り……。
 あんまり考えるのは得意じゃねぇし、どうして葵とセックスしなきゃなんなんくなったのかも、今となっては思い出せねえし。
 やったからってどうこうなるワケでもないっしょ。
 自分に言い訳三昧。
 俺、もしかして、へこんでる?
 「もう一回シャワーしてくる。イッチもする?」
 手だけで断る。
 グルグル回る思考回路。何をどう考えればいいのかさえ、纏まらない。そんなときは寝るに限る。面倒臭い事は明日に後回し。
 ま、いっか。
 眠りにつく一瞬前、葵の顔が思い起こされた。思い出さずとも、目を開き、隣を見ればそこに本人がいるというのに、それでも息をあげ、濡れた目で俺を見る葵を思い起こしながら、目を瞑っていた。




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