すこしづつ、アップです。
今月こそは!マメにアップを怠らぬように頑張りたいです。
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今月こそは!マメにアップを怠らぬように頑張りたいです。
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「つめて~!」
雨が多くなってきた、この時期が一番嫌いだ。ピンの仕事を終え、そのまま自分の車でマンションに帰って来た。もう、午前を回る時間。
ビニール傘を乱暴に振り回し、水のしぶきがジーンズに飛び散るのに軽く叱咤しながら、準はエレベータのスイッチを押した。直ぐに開かない扉を睨み付け、赤く点滅しているエレベーターのランプを見上げた。最上階へ向かって延びていくランプに、苛ついた溜息を漏らし、階段へと足を向けた。
息を切らしながら、部屋の鍵を探す。何処へ行ったのか、鍵は見つからなく、着ている服のポケットのあちらこちらをまさぐる指先が、ジーンズのポケットからはみ出した携帯のストラップに絡み、湿ったコンクリへと落ちていった。
「......ったく」
細長い準の指がそれを拾おうと延びた瞬間、誰も居ないはずの自分の部屋のドアが開いた。中腰になった儘、呆然と開くドアを見つめる準に、中から薄いグレーのロングスリーブの袖をたくし上げ、腕組みしながら、半ばあきれ顔のリョウの姿が現れた。
「何やってんの?」
中腰の儘、リョウを見つめる準へとリョウが問いかける。
「お前こそ、何やってんの」
リョウが此処を出て行ってから、準の部屋へと自発的にやってくることなど、これまでに一度もなかった。それなのに、まるで、ずっとこうしていたかの様に、自然な状態でリョウがそこに立っていた。準から自分が発した台詞と同じ言葉を返されて、リョウは準から目を逸らす。着古し色あせたジーンズのポケットに両手を突っ込み、少し恥ずかしそうに、床のカーペットを見つめる視線。
何か、言葉を発したリョウの声は、準の耳には届かない。
「あ?なに?聞こえねーよ」
嬉しそうな表情を、隠そうともしない準は、リョウに歩み寄る。雨で水分を吸収し重くなったスニーカーを面倒臭そうに脱ぎ捨て、下を向いた儘、顔を上げないリョウの前に立ち、下から掬い上げる様にしてリョウの顔を覗き込んだ。
「来てくれて、嬉しいよ」
「気持ち悪いこと、言うな」
すっと準の脇をすり抜けて行くリョウは「飯、食った?」と何もなかったかの口調で、話しかける。それがリョウらしい、リョウの態度だったから、準は軽い目眩を覚えた。
きらきら光る、デジャブの感触。何処まで現実なのか、まとわりつく空気に甘さを感じた。
「飯、食った?」
キッチンから聞こえる、リョウの声。がさがさと聞こえるスーパーの袋の音。
「お前、スーパーとか、行ったの?」
「あ、今日お前雑誌の取材入っていたろ。で、リハも一人じゃ乗らなくて、気分転換に行ってみた。なんか、楽しくなってさ、色々買ったんだけど、一人で食うのもつまんないし」
「で、何作んの」
「うどん」
「は?」
こんなに沢山の食材を買って来て、作るのはうどんだと、リョウは言う。いつも、リョウはオレの所に来てはうどんを作った。懐かしさが込み上げる。期待してしまう。
「厭なのかよ......」
葱を持った儘、口を尖らせる、オレのリョウ。このまま、時が止まったらいいのに。そう思うことは、オレの子供っぽい感情なんだろうか?こんな事が、凄く暖かい。
床に二人分のうどんを置き、プレステに熱中した。心地良い笑い声が隣から聞こえる。
「お前のうどん食いながら、ゲームするのって高校以来じゃん?あ、ば~か。そこんとこ三つ穴あいてんじゃん。そんときは、A押してからBだろ~」
「うっせえ、上手く行かないんだよ。......、あんときも、面白かったよな、佐野とか、高野とかもいて、準のかあちゃんに怒鳴られてよ」
「あ~、うちのババアね~。......、お前、最近家とか、連絡してる?」
コントローラーを静かに床に置くリョウは、うどんの入った器を持ち上げ、冷めてしまった汁を微かな音をたてながら啜った。
「ん、してねー」
家を飛び出して来た、オレ達。準の手を取り、東京行きの夜行バスに乗ったあの夜。
怒鳴られ、反対され、「戻って来るな」と言われて。
オレ達は、夜行バスの窓から見える、遠くにある月を見ながら、やって来た。
お前からそんな言葉を聞きたくて、そんな顔を見たくて言った台詞じゃなかった。
雨が多くなってきた、この時期が一番嫌いだ。ピンの仕事を終え、そのまま自分の車でマンションに帰って来た。もう、午前を回る時間。
ビニール傘を乱暴に振り回し、水のしぶきがジーンズに飛び散るのに軽く叱咤しながら、準はエレベータのスイッチを押した。直ぐに開かない扉を睨み付け、赤く点滅しているエレベーターのランプを見上げた。最上階へ向かって延びていくランプに、苛ついた溜息を漏らし、階段へと足を向けた。
息を切らしながら、部屋の鍵を探す。何処へ行ったのか、鍵は見つからなく、着ている服のポケットのあちらこちらをまさぐる指先が、ジーンズのポケットからはみ出した携帯のストラップに絡み、湿ったコンクリへと落ちていった。
「......ったく」
細長い準の指がそれを拾おうと延びた瞬間、誰も居ないはずの自分の部屋のドアが開いた。中腰になった儘、呆然と開くドアを見つめる準に、中から薄いグレーのロングスリーブの袖をたくし上げ、腕組みしながら、半ばあきれ顔のリョウの姿が現れた。
「何やってんの?」
中腰の儘、リョウを見つめる準へとリョウが問いかける。
「お前こそ、何やってんの」
リョウが此処を出て行ってから、準の部屋へと自発的にやってくることなど、これまでに一度もなかった。それなのに、まるで、ずっとこうしていたかの様に、自然な状態でリョウがそこに立っていた。準から自分が発した台詞と同じ言葉を返されて、リョウは準から目を逸らす。着古し色あせたジーンズのポケットに両手を突っ込み、少し恥ずかしそうに、床のカーペットを見つめる視線。
何か、言葉を発したリョウの声は、準の耳には届かない。
「あ?なに?聞こえねーよ」
嬉しそうな表情を、隠そうともしない準は、リョウに歩み寄る。雨で水分を吸収し重くなったスニーカーを面倒臭そうに脱ぎ捨て、下を向いた儘、顔を上げないリョウの前に立ち、下から掬い上げる様にしてリョウの顔を覗き込んだ。
「来てくれて、嬉しいよ」
「気持ち悪いこと、言うな」
すっと準の脇をすり抜けて行くリョウは「飯、食った?」と何もなかったかの口調で、話しかける。それがリョウらしい、リョウの態度だったから、準は軽い目眩を覚えた。
きらきら光る、デジャブの感触。何処まで現実なのか、まとわりつく空気に甘さを感じた。
「飯、食った?」
キッチンから聞こえる、リョウの声。がさがさと聞こえるスーパーの袋の音。
「お前、スーパーとか、行ったの?」
「あ、今日お前雑誌の取材入っていたろ。で、リハも一人じゃ乗らなくて、気分転換に行ってみた。なんか、楽しくなってさ、色々買ったんだけど、一人で食うのもつまんないし」
「で、何作んの」
「うどん」
「は?」
こんなに沢山の食材を買って来て、作るのはうどんだと、リョウは言う。いつも、リョウはオレの所に来てはうどんを作った。懐かしさが込み上げる。期待してしまう。
「厭なのかよ......」
葱を持った儘、口を尖らせる、オレのリョウ。このまま、時が止まったらいいのに。そう思うことは、オレの子供っぽい感情なんだろうか?こんな事が、凄く暖かい。
床に二人分のうどんを置き、プレステに熱中した。心地良い笑い声が隣から聞こえる。
「お前のうどん食いながら、ゲームするのって高校以来じゃん?あ、ば~か。そこんとこ三つ穴あいてんじゃん。そんときは、A押してからBだろ~」
「うっせえ、上手く行かないんだよ。......、あんときも、面白かったよな、佐野とか、高野とかもいて、準のかあちゃんに怒鳴られてよ」
「あ~、うちのババアね~。......、お前、最近家とか、連絡してる?」
コントローラーを静かに床に置くリョウは、うどんの入った器を持ち上げ、冷めてしまった汁を微かな音をたてながら啜った。
「ん、してねー」
家を飛び出して来た、オレ達。準の手を取り、東京行きの夜行バスに乗ったあの夜。
怒鳴られ、反対され、「戻って来るな」と言われて。
オレ達は、夜行バスの窓から見える、遠くにある月を見ながら、やって来た。
お前からそんな言葉を聞きたくて、そんな顔を見たくて言った台詞じゃなかった。