それつきの19です。
今回は、こんな出だしからです。
楽しんでいただけると、嬉しいです
----------------- ここから -----------------
走っても、走っても、何かが後から追ってくる。山林を逃げ回るオレとリョウに、正体の分からない何かが迫ってくる。ここで死ぬ訳にはいかない。まだオレ達にはやり残した事がある。
赤いレーザー光線が準のジャケットを微かに掠って、ナイロンの焼けた臭いが鼻孔を刺激した。まるで、メスで切り裂いたかの様な、鋭利な裂け口に、ゾクっとする。
こんなの、まともに食らったら......。
今回は、こんな出だしからです。
楽しんでいただけると、嬉しいです
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走っても、走っても、何かが後から追ってくる。山林を逃げ回るオレとリョウに、正体の分からない何かが迫ってくる。ここで死ぬ訳にはいかない。まだオレ達にはやり残した事がある。
赤いレーザー光線が準のジャケットを微かに掠って、ナイロンの焼けた臭いが鼻孔を刺激した。まるで、メスで切り裂いたかの様な、鋭利な裂け口に、ゾクっとする。
こんなの、まともに食らったら......。
後ろを振り返り、リョウが着いてきているかを確認しほっと安堵するが、悠長にしている暇などなかった。早く、逃げなければ。やられてしまう。
目映いライトがリョウの背に当たる。激しい光に照らし出される、リョウの肉体。追っての狙いはリョウだと言うのか?暗がりの中を走っていたオレ達に突然のライトを浴びせられたリョウは、足下をすくわれ、ぬかるんだ砂利に転倒した。
「逃げろ!お前だけでも!」
泥だらけになった顔にそれでも後ろから差し込んでくる目映いライトが、後光に包まれている天使の様にリョウの回りを取り囲んでいた。
「馬鹿野郎!折角ここまで来たのに、何言ってんだ!さあ!」
無理矢理、倒れ込んでいるリョウの腕を掴み思い切り引き上げた。オレは、これからあの向こうに、今は何も見えはしないが、あるであろう道に向かってこいつを連れて行かなくてはならない。
手を取り、暗がりだけしか見えない道へリョウを連れて走り出した。
「もう、逃げられないよ」
「オレが許さねえ。お前がここでへたばるなんて、オレが許さねぇからな」
容赦なく突き刺さってくる、木々の枝を腕で防ぎながら、背に回したリョウを庇い、追っ手からどうにか逃れる為、闇雲に走るオレ。
苦しい、苦しい、酸素が頭に回りきらない......。何もかも投げ出してしまいたい。そんな感覚に捕らわれていく。
何から、お前を守ればいいんだ。訳も分からないモノからどうやって護ると言うんだ。このまま走っていて、オレ達に勝算があるのか?
もつれる足を必死に庇いながら、次から次へと消えては現れる焦燥感と戦い、そしてオレは何も見えない暗がりへとリョウを連れて走った。
「この先に、あるのか?」
切れ切れの声で、リョウが確認するかのように尋ねてくる。
目前に不意に現れた高い柵。ここを越えれば、すぐそこにオレ達が求めている場所が有るはずだ。
「もう少しだ。ここを越えられるか?」
既に、幾つもの傷を身体に負い酷く疲れた顔をしていリョウは、曖昧な笑みを浮かべて見せた。
こいつはもう限界かも知れない。これ以上、無理かもしれない。
--- 置いて行こうか......。
ふと、沸き上がる残酷な感情。出来るはずがない。今までオレ達は二人で戦ってきた。その戦友をこんな所に置いて行くことなど、出来るはずがない。
「さあ、行こうぜ」
オレの差し出した手を力強く握り返してくる、その目には友情とか、信頼とかそんな物を越えたオレ達の今まで過ごしてきた答えみたいな物を映していた。
オレは柵を飛び越え、まだ柵の頂上にいるリョウに向かって両手を広げた。
「さあ、早く、飛べ!」
今、正に今、オレの胸の中に飛び込んで来ようとした瞬間、一筋のレーザー光線がリョウの身体を突き抜けた。
一瞬の事だった。
オレの名を叫びながら、リョウは柵の向こう側に落ちていった。グシャっという鈍い音を立て、地面に落とされたリョウに向かって、叫んだ。
柵から、腕を伸ばし、声にならない、叫びを、天に向かって......。