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タイムアウト 8

2008年8月10日 日向夏姫 |

こんにちはー!

今日は、航太×瑞樹をアップします。

いや、、もう一個もアップするつもりですよ。

 

航太×瑞樹は、これはBLといえるのかどうか、怪しいです。

 

では、どうぞ!

----------------



「ただいま」
瑞樹を土手に置き去りにしたまま、オレは帰ってきた。もうアイツなんか知らねぇ。
「どうした、瑞樹は一緒じゃなかったのか?学校には行かなかったのか?」
「しらねーよ!」
怒鳴るオレに「やれやれ」と呟くじじいの声が聞こえていた。
何処まで知っているのか、何にもしらねぇのか、じじい。


アイツを気遣って、なにかするとロクなことにならない。洗面所には寄らず台所で顔を洗った。傷口に砂利でも入ったのだろか、水すらしみる。

腕まで一緒に洗い、付いた砂と滲んだ血を洗い落とす。洗っても肘から滲む血は舌で舐めると口内に苦い鉄の味が広がり、思わず顔をしかめた。
水分や川砂利を含んで重くなった制服を脱ぎ、洗濯してハンガーにかけてある制服を出そうと洋服箪笥に手を掛け、躊躇した。もう今更学校へ行く気力は既に無くなっていた。


小さくため息を漏らすと箪笥の引き出しを開け、目に付いたシャツを引っ張り出し徐に頭から被る。ベットの下に脱ぎ捨ててあったジーンズをそのまま履き、そのままベッドへ倒れ込んだ。
本当に、体の中に鉛でも詰まっているかのように重かった。頭痛も酷くなっていた。喉も乾いている。なんだかヒリヒリと喉の奥が焼けつくような傷みを感じた。
「オレ、風邪でもひいたんかな」そう独り言を呟いた時、扉の向こうから瑞樹の声がした。


「航太、悪かった。ゴメン」
珍しくしおらしい声を出している瑞樹。
「・・・入ってもいいか?」
「なんか、用か?」
既に戸を少し開けた状態でそう言う。瑞樹がオレの部屋に入って来るのは、あの事件以来だ。
すっかり私服に着替えたオレは、もう学校に行く気なんて更々無く、瑞樹もまた同じだった。薄手の綿のニットセーターに揃いの色したベージュのパンツ姿でオレの前に立っていた。


「ガッコ、行かないのか?」
ベットで寝転んでいるオレを見とめ、すこし戸惑ったような言い方をする。


「お前が、それを言うな!」
航太の、すり切れた腕の傷はロングスリープで隠れて見えはしなかったが、額の傷は痛々しげに血が滲んでいた。
瑞樹の視線を追って気がついた様に、航太は瑞樹から顔を逸らした。


「これ、航太の母親?」
カタンと音のする方を振り向くと、古びた箪笥の横に立てかけてあったオレに残された立った1枚の母さんの写真に瑞樹が手を伸ばしているのが見えた。


「触るなっ!」


急に声を上げたオレに驚いた瑞樹は写真の入ったフォトスタンドを手から滑らせ、今や落とす寸前だった。
まるで、スローモーションのように落ちていくフォトスタンドを取り押さえようと瑞樹を押しやった、その瞬間。
また、あの暑い湿った空気に襲われた。


締め付けられる心臓。息が出来なくなるほどの圧迫感。
今度は、何処へ連れて行かれるのか。


何かを掴もうと延ばした指先が触れた物は、もう一つの指先だった。求めるようにオレの手を掴もうとする指先を感じた、そして、息苦しさから解放された。
辺りは薄暗く、夕暮れを感じさせた。


ここがどこなのか……視界が、徐々に慣れて行くのを待つしかなかった。握られた手の感触だけは、目を瞑っていてもそれが誰なのか分かっていた。

--------- つづく

 

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