トップページ > 異世界もの > だから、待て > だから、待て! 4
« だから、待て! 3 | だから、待て

だから、待て! 4

2008年3月26日 日向夏姫 | | コメント(0)

怒りの頂点に達した女は、長い髪の毛を自由自在に操り、瑞樹を天井まで持ち上げ、床に叩き付けた。
ゲホッ・・・。
瑞樹の口から、鈍い音がした。ああ、オレにどうしろっていうんだよ!
こんなに怒らせた、化け物相手に、どうやって立ち向かえばいいのか!
「じぃちゃーーーん!助けてくれーーーっ!」
恥も何もあったこっちゃねえ。オレは、力の限り叫んでみたが、そこは、映画や漫画のように、誰も助けに来てなどくれなかった。
女妖怪は、床に倒れ込んだ瑞樹を再度持ち上げようとしていた。
白い瑞樹の肉体は、青白く光り、薄く色の抜けた髪の毛はハラハラと生気が抜けたかのように揺れている。

赤い唇から、滴る血の色。
「・・・航太・・・。」確かに、瑞樹の唇がオレの名を呼んだ。萎えそうになっていた気持ちが、ウソの様に蘇ってきた。
こいつは、オレが守る。
側にあった、野球バットを握り、全身の神経をバットに集中した。
薄い青色の炎が、チリチリとバットに燃え移っていくようだった。自分で、自分に感動したぜ。ちくしょー、負けてたまるかってんだ!
あと、少しってところで、女はオレに攻撃を仕掛けてきた。凄い怨念。もう、人間の思考回路じゃない。意味も分からないほどのマイナスの怨念が、火柱の様に、身体を裂く。
ドンッ
壁と、見えない圧力に押しつぶされそうになる。このままだったら、ここでオレも瑞樹も死んでしまう。肺が潰されてしまいそうに痛い。
こめかみから、血が滲む。
「・・・・かぁさ・・・ん・・・。」
朦朧としていく頭で、母さんの面影を追った。瑞樹を助けてやってくれよ。

すると、ポケットにあった札が自分に命があるかのように、舞い上がっていった。
キラキラと蝶の様に羽ばたきながら、女妖怪と化した化け物へと張り付いていく。
シューシューと、不気味な音と、絶叫が木霊する中、不思議とオレの身体が軽くなって行った。
押しつぶされた、肺もウソのように消えていった。また、バットを握る両腕に力が漲ってきた。全神経をバットの先へと集中させていく。
何も、躊躇ったり、考えたりしている余裕なんか、ない。
そう、まるで「スターウォーズ」さながら剣の様に光り輝くバットを、化け物へと力一杯振りかざした。
光の先は、電流が走ったかのように、真っ直ぐと化け物に直撃した。
凄い、雄叫び。
激しい臭気、ドロドロとした気味の悪いゼリー状の液体が、部屋中に飛び散った。
醜く変化した女は、ゼリーの中から、白い放射を放ち、昨日の少女へと変化していった。
「・・・・・、鷹東・・・先輩・・・・。」
酷く聞き取りにくい、声を発して、女は口を開いた。
「鷹東、瑞樹先輩・・・。」
今度は、はっきりと昨日の少女の声になった。
瑞樹のヤローは、意識もなく、頭をあげ、その少女に向き直った。
「好き、だったんです。・・・・先輩・・・・。」
何かが可笑しかった。
少女に変化した女へと、ふらふらと歩き出そうとしてる、瑞樹の腕を引いた。
「待て!・・・・、可笑しいぜ。」
「大丈夫だよ。ほら、あんなに泣いて、可哀想じゃん。成仏させてやろうぜ。」
光輝く少女の振りをしているだけだとしたら?
「おい!待て。・・・だからっ!待てっっ!」
瑞樹は、オレの言うことを聞かずに、もう一歩踏み出そうとした瞬間、思い切り腕を引っ張った。絶対におかしい。
案の定、瑞樹が一歩踏み出した、その床にぽっかりと穴があいた。
罠にはまらなかった事に、女は正体を現した。
衝撃波。
「ばかやろーっ!瑞樹のせいだ!」
「どうにかしろーーー!早く、その剣で!切り裂け!」
簡単に言ってくれるぜ。もう、力なんてどこに残っているって言うんだよ。
瑞樹が、オレの握っているバットの上から、自分の手を重ねてきた。
見る見るとバットに生気が戻る。
オレンジ色の光線が、バットにまとわりつく。
さっきよりも、濃い色になっている青い光も、力強く感じる。どうしたことだ!
お前も、霊能力者なんか?どおよ!瑞樹!
「ほら、行くぜっ!」
「おっしゃぁぁぁ~!」
ぐるぐる回る光の剣は、今度こそ、命中した。
あっけない程に、終わった。
あの化け物に命中したとたん、あいつは、声にならない叫びとともに、消えていなくなった。

「大丈夫か?」
オレを抱えて、抱き起こしているのは、ぼさぼさになっても綺麗な色した髪を持つ、鷹東瑞樹だった。同じ色した瞳は、すごく心配そうにしている。
「航太!無事か?!」
聞き覚えのある声が、背後にした。
「・・・じじぃ・・・・、遅ぇよ。早く来いっつーの・・・・。」
ああ、畜生!
瑞樹に抱かれているオレってなんだよ。助けてやったのは、オレなのに・・・。
今度こそ、気が遠くなっていった。
色々と、言いたいことは、山ほどあるっていうのに、ちくしょーーーー・・・・・・。


目が覚めた時は、自分の部屋にいた。
自分のベットに寝ていた。
そして、隣には、オレを見下ろしている鷹東瑞樹がいた。
「何、としんねん。お前・・・。」
「お、気がついたか?」
「・・・・、お前、ここで何してんだよ。」
「ん?お前の睫、長いなぁって、見ていたんだよ。」
「・・・・きっ、キショ悪っ!」
「がははははっ!照れてやがるぜ!あははははっ!真っ赤だぜ!」

ガラッと戸を開け、じじいが入ってきた。
「そんだけ元気になったんなら、明日からは学校へ行け。」
枕合戦さながら、ベットから立ち上がって、瑞樹に襲いかかろうとしているオレ見て、じじいは、呆れた様に言った。
「今日は、何曜日?」
「水曜日だ。お前、2日間も寝ていたんだぜ。」
「使ったこともない力を出し切ったんだから、しょうがあるまい。」
ちょっとショックだった。なんで、オレだけ?瑞樹はなんともないのに?
「ん?オレ?」
瑞樹が、惚けた顔して振り向いた。
「オレは、切り傷だけ。日頃の行いの差だな。うはははっ」
「なんで~?じじい、なんで?」
すかさずボコッとじじい頭を殴られた。
「瑞樹は、霊力を感じない・・・、というか、通じない体質らしい。」
「あ、なーるほどね。鈍感なんだ!あ・・・・、そうか、だから、あの化け物が乗っかっても平然としていたんだ!」
「鈍感じゃねーよ。」
ぷいっと顔を逸らす瑞樹を見て、ちょっと嬉しかった。
「じぃちゃん、あの部屋、どうなった?めちゃくちゃじゃねぇの?」
「それがな、そんなに荒れてはいなかったよ。」
「ゼリー状のベトベトは?」
「それは、片づけておいたから大丈夫だ。」
「それと・・・・」
「あ゛ーーーっ、鬱陶しい!もう少し、寝ていろ。全ては終わったよ。心配するな。」
瑞樹が、オレを無理矢理ベットへと押し倒した。
「でも・・・なんでお前と一緒の時に、バットが光ったんだ?」
間近で見る瑞樹の顔は、なんか、妙に綺麗だったんで、ドキドキした。
モゴモゴと口ごもる瑞樹の後ろから、じいちゃんの声が答えた。

「ま、あれだな。霊力を通じさせない瑞樹が、どういう訳か、お前とシンクロしたのか、お前の力を増幅させたんだろ。珍しい体質を持っているよ、瑞樹はな。」
ニヤニヤしながら、戸を締めていった。
なんやの、じじい。

「お前が、オレの増幅装置?」
「そういう事らしい。」
「・・・・・、どうでもいけど、どけよ。重い。」
オレを上から押しつけたまま、動こうとしない瑞樹を押しのけようとした。
「いいじゃん、俺ら、恋人同士なんだろ?」
「・・・なっ・・・・!」
「昨日、学校行ったら、凄い噂になっていたぜ。ふふふふふ。」
「ふふふふ、じゃねーよ!ちゃんと否定しておいたんだろうなっ!」
「いいじゃん、言わせておけば。」
跳ね起きようと、勢いをつけたら、瑞樹の唇に捕まった。
目を見開いたままのオレの口びるに、自分の口びるを重ねてきやがった。
「助けてくれて、ありがとう、な。」
豆鉄砲でも食らったかのような顔をしていたと思う。こんな事ってアリなんか?
「オレんちさ、あんなんで、住めないんだわ。暫くここにいてもいいって、じいちゃんが言うから、世話になるな。」
「・・・・・・!」
「・・・ちょっ・・・、ちょと、待て!」
瑞樹は、ニヤニヤしながら、部屋を出ていった。
おい!待てよ!
「だから、待て!」

おしまい

※大変お見苦しいものをお見せしました~~~
リライトしたらものをアップしたら、懲りずに読んでくださいませ。

日向夏姫


« だから、待て! 3 | だから、待て

clapping_10.gif

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ ←励みになりますので、1日1回よろしくお願いします!

もっと詳細にBL小説の好みを極めたい方はこちらがおススメ!

女性向け創作サイトリンク集B-LOVERs★LINK 創作サーチ女性向け

コメントする

(初めてコメントする場合、承認されるまではコメントが表示されない場合があります。)




FROM 20070612 ACCESS
現在の閲覧者数:

つなビィ
Novels
アンケート
ごあんない
おススメ商品

レディース ロング ムートンブーツ


DELETER COMICWORKS Ver2 コミックワークス Ver2

Tags
Feed
Powered by
Search

ブログペットの葵