短編集の最近のブログ記事

 高校生活ももうじき終わりを告げる。
 学校生活が楽しかったとか、つまらなかったとか、特に感傷に浸るような思い出なんかなかった。
 たった一つの事を省けば。
 俺は、この三年間で思い知った事がある。いつも目で追うのはただ一人だけ。
 その人間の名前は、中原康浩、十八歳。そう、男だった訳で。
 どうしてこんな事になったのかなんて、思い出したくもないけれど、高校1年の夏休みに俺は彼女というものがいた。まだ自分がソレだって事に気がつくまえだった。

「男とキス?したことあるよ。高校んとき、酔っぱらって、その勢い。」
あっけらかんと、そう言うオレの片思いの相手。
「で、その後ってどうした?」
午後の、誰も居なくなった大学の食堂で、サンドイッチをコーラで流し込みながらレイジがそう言うから、動揺を必死で隠すため、オレはわざと雑誌から目を離さずに、あたかも面白い事が書いてあるかのように装った。
目に掛かるほどの黒髪を五月蠅そうに頭を2~3度横に振る、その仕草、目を瞑る目頭すら妖しげで、色っぽい、レイジ。
開いた瞳は、切れ長で、二重の瞼が妖しげに光る。
この男のなら、抱かれてもいいかも・・・。そう思って、その思いを閉じこめて、もう半年になる。